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日本のすばらしい建築物

日本に現存するすばらしい建築物を紹介するブログ

原美術館(旧原邦造邸)

 こんにちは、ニュースレター作成代行センターの木曽です。

 品川駅から御殿山へのゆるやかな坂をのぼって、北品川の閑静な住宅街エリアに

 入ると、ひときわ大きな敷地の建物があります。

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 白く長い壁と木々に囲まれたクラシカルモダンな建物が今回紹介する原美術館です。

 

 

 かつては眼下に江戸湊を見下ろす高台で、江戸時代初期から、歴代将軍の

 鷹狩の休憩所や、諸大名の参道送迎のための御殿あったため、御殿山と呼ばれ

 ました。

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 幕末期には、国防のための台場建設用の土砂採取場や東海道本線の用地となり、

 一部はえぐられ窪地となりましたが、明治期には富裕層の屋敷が多く所在しました。

 

 

 

 原邦造(1883-1958)は、大阪府生まれの実業家です。

 

 

 

 銀行家でもあり美術収集家でもあった原六郎の養子となって、京大卒業後に金融、

 生命保険業界を歩みました。

 

 

 

 第百銀行頭取、愛国生命社長のほか、明治精糖社長、帝都高速度交通営団総裁、

 日本航空会長などを歴任しました。

 

 

 

 また敬虔なクリスチャンとして、事業のかたわら教育、宗教などの公共事業にも

 力をそそぎました。

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 原邸の設計者は、渡辺仁(1887-1973)です。

 

 

 

 銀座の和光ビルや上野の東京国立博物館、第一生命館などの設計でしられています。

 

 

 

 岡田信一郎と並び、あらゆる歴史様式をこなす名手として知られました。

 

 

 

 岡田がモダニズムだけは手がけなかったのに対し、渡辺はここ原邸でモダニズムに

 通じる透明感にあふれた造形美を作り上げました。

 

 

 

 渡辺は、東京帝国大学建築学科を卒業後、鉄道院や通信省、大正9年に独立してから

 は、当時盛んに行われていた建築設計競技に応募して、次から次に当選し、若手の

 実力派としてその地位を確実なものにしていきました。

 

 

 

 その最大の入選作が前述した東京国立博物館と第一生命館です。

 

 

 

 モダニズムとは、これまでの歴史様式の建築デザインに代わり、工業化時代の

 技術や社会に適合した、新しい建築の姿を模索する動きのことです。

 

ニッポンのモダニズム建築100 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)

 

 

 モダニズムの中心的な思想の一つに合理主義があります。

 

 

 

 合理主義に基づく建築では、使い勝手を重視した機能的な平面計画をもち、

 経済性と工業化を追求した施工を行うという思想です。

 

 

 

 また、鉄とガラスとコンクリートという新しい材料を用い、幾何学的なデザインを

 多用するといった特徴もあります。

 

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 モダニズムのデザインは、戦後の病院やオフィスビルなどのデザインによく

 用いられているので、現代人から見れば普通の意匠に感じるでしょう。

 

  モダニズム建築の作品として、ミース・ファン・デル・ローエ(フィリップ・ジョンソンとの共同)の設計によって建設されたシーグラム・ビルディングがあります。

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 全38階建てで、高さは159.6メートル。アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されています。

 

 映画「摩天楼」の主人公ハワード・ロークとミース・ファン・デル・ローエが重なって見えるのは、私だけでしょうか。

評伝ミース・ファン・デル・ローエ

水源―The Fountainhead

 

 

 話しを戻して原邸では全体を単なる白い四角い箱とするのではなく、さまざまな機能をユニットとして分解し、それを巧み構成させているので、それがそのまま外観に躍動感を与えて、見る物を飽きさせません。

 

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 全体として、まるで抽象的な彫刻作品のようでもあります。

 

 

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 そこにこの建物の特徴と、設計者のうまさがあると思います。

 

 

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 空間に溶け込みながらも光の関係が美しく納まっている控えめながら

美しい階段だと思います。

 

 この明るく開放的な空間こそモダニズムの真骨頂といえます。

 

 

 サンルームは半円筒に立ち上がって、天井いっぱいに開けた窓が壁面全体をぐるりとまわっています。

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 窓から見える和風庭園の緑が心地よく、竣工同時は、ここから品川沖の海を見通せ、家族はここでとる朝食を毎日の楽しみにしていたということです。

 

 一度は、行ってみたい建築物の1つです。